DOD250のMOD – TrueBypass化、LED増設、DCジャック変更等

持ってるけど使ってない、ネオクラシカルな黄色いヤツを便利に

自分は、何か欲しいエフェクターがあったら、「回路図を探して来て、作ったったらええねん。」と思ってしまう自作erですので、定番メーカー製の実機はあまり持っていないし、珍しく既製品を入手しても、中身も音もしょんぼりだったりで、結局あっても使わない事が多いです。

そんな中でも、オリジナルの実機を持ってる、数少ない内の1つが、この DOD 250 です。

昔、人に貰ったもので、BOSSやなんかとは違うシンプルな回路のド直球なサウンド等、良いなと思う部分もあるものの、チューブスクリーマーやらの他を差し置いてこいつを使う場面も無く、そうそう出番はありませんでした。

何よりも困った事に、①POWER LEDが無い。②DCソケットが何故かモノラルミニフォンジャック。という、大変残念な、使い難い仕様となっている点が凄くマイナスでした。(リイシューとか時代によって色んなモデルがあるっぽいので、250全部がそうではないかも?)

最近、使い道を見出した

そんなこんなで、持ってはいるものの全然使ってなかったのですが、最近、Fenderのクリーンチャンルで、無理やり歪(クランチ以上の)を作る実験をしている際に、DS-1のMOD、MicroPreamp、Plexi系ペダル、J-Fetのブースター等、色々な回路を試した結果、この DOD250 が一番良かった!という事案が発生しました。

F特の広すぎるクリーンチャンネルには、どうもこの狭いレンジと、ゲインを上げた時に低域が切れる仕様が、凄く丁度良い様です。某YJ氏がJCM800みたいなPlexi系のアンプで、これを使ってるのも成程なと思いました。Treble Boosterなんかも同じ理由で使いやすいんでしょうね。

そういう経緯で、「ペダルボードに入れてみよう!」と思い立ちましたので、なるべく音が変わらない範囲で、使いづらい仕様を改善するMODを施そうと思います。

取り合えずバラして中身を確認。

蓋を開けて中身を確認。

スイッチングBypassが当たり前のBOSSとかの中身を見慣れてると、めーちゃくちゃシンプルですが、ことギターエフェクターにおいて、複雑 > 単純 では決してないのです。メーカーはコスト抑えたいだけでしょうが、「いらん事してない」という利点が少なくともある。

全バラし完了。

この段階で、回路図見てテスターで色々確認したのですが、

これ、元からトゥルーバイパスですね。

繋いでると音劣化する気がしてたので、てっきりバッファ通ってるのかと思ってましたが、そんな事は無かった。ジャックとか配線とかスイッチとかのパッシブ部品で音変わってるだけなのか、単にプラシーボなのか。LEDが無いだけで、Off時にはInputとOutputが直結されてました。

パワーインジケーターが無いとか、On / Off が見た目で分からないので、それだけで使いもんにならんレベルのマイナスポイントなのですが、DOD250 は、すんごい昔からあるレジェンドなペダルですので、開発当時はまだ、LEDの存在しない時代だったんでしょうね。

回路図見て分かった点その他

その他、こいつの回路の特徴としては、良くあるオペアン1石の増幅器で、ネガティブフィードバック量でゲインをコントロールするタイプのヤツ。出力段でダイオードクリッピング入ってる感じです。これだけだと超普通ですが、ゲインPOTの入ってる位置がHPFになってるので、ゲインノブで増幅すると低域が切れます。計算機に値をぶっこんでみた所、ゲイン最低時~最大時のHPF中心周波数が、6.7hz~720hz位でした。720hzと言えば、TS9の固定値がその位だったので、なんか理由があるんですかね。もっと切ってあるんじゃないかと思ってた出力段のLPFは1.5khz程度で大した事はなかったです。という事は、パッシブ部品の特性だけでこんなにハイ落ちてるのかい!?

18Vで鳴らすとかなり良い

あと実装されてる部品を見た感じ、この子は18V突っ込んでも大丈夫そうだったので、試しに18V駆動してみた所、大変良好な結果が得られました。18Vとかなり相性が良いです。バイアス電圧部分の電解コンの耐圧が16Vなので、上限は18V程度が無難ですが、バイアス電圧は入力電圧の1/2に勝手になるタイプなので、12Vとかでも全然良い。うちの個体と採用パーツが違っていたりはあり得ますし、定格9Vよりコンデンサの寿命は縮むと思うので、やってみようと思う方は、ご自分の責任において自分で判断して下さい。

まずはDCジャック周りからやりませう。

これが悪名高いミニジャックのDCジャックです。

DOD250をお店で買って来て、意気揚々と音を出そうとしたところ、手持ちのアダプターでは使えなくて、余計な変換ケーブルを買ってくる羽目になるという。壮絶な苦行をユーザーに提供します。

3つある端子の内訳は、赤>バッテリースナップのHOT、緑>DCプラグのHOT、白>Gorund、でした。大変謎な配色ですね。同時期の全部の個体で配線の色が統一されてるかは分かりません。

因みに、この個体のオペアンプは、KA4558 って書いてました。FAIRCHILD社製ですかね。

4558は、TSやらでお馴染みの、ギターエフェクターでど定番の2石入りオペアンプです。ボトムとトレブルのちょうど良い所”だけ”がガっと出てきて、使うと即、「あーこれな!」という”知ってる音”になってくれます。その安心感が半端ないので、デフォルトで4558が入ってるペダルでは、下手に他の銘柄に変えない方が良いと思います。ギターの場合、音響的に優れている=良い音には大抵なりません。自分の場合、4558をあえて替える場合は、NJM4558DD に最終的になる事が多いです(替えてないやん)。次点でOPA2134ですが、音は良いものの高いしこっそりハムノイズが出てた気がします。元がTL082とかTL072とかのペダルの場合は、取り合えずNJM5532Dとかにしてみます。5532大好き。

DCジャック穴を拡張

DCジャックの位置をどうするか結構悩みましたが、計測した結果。元の穴の拡張でいけそうだったので、ハンドリーマーで地道に拡張しました。

バッテリースナップでの電池駆動が可能な仕様を残す為には、3極のスイッチ付きのソケットを使わないといけないんですが、センターマイナスのなので、金属性のソケットだと、V+がアルミケースのGroundに落ちて電源が入らなくなってしまいます。2.1、5.5mmの仕様でアイソレートできるソケットだと、この、デカい黒い丸いやつ になるんですが、穴を12mmで空けないといけないので、結構大変です。他のパーツと干渉しないように慎重に位置決めした方が良いです。

あと、「君ほんとにアルミなの!?」ってぐらいにケースが分厚く頑強すぎるせいか、拡張穴がなんか8角形になってしまう現象が発生しました。色々頑張ってなんとかソケットねじ込んだら誤魔化せる程度に収めましたが、お手持ちなら、初めからステップドリルビットを使った方が良いかもです。

LEDの位置決めと穴空け

DOD250 をMODする際の LED の位置ですが、元のデザインの都合を考えた場合。「どう考えてもココやろ!」と思います。

左右非対称の謎の縦線(左側が重い)がある中にオブジェクト加えるんなら、こっちにつけた方が絶対バランス良いですやん?

ドリルで空けるだけですが、ちゃんと、ポンチ打って、2mm空けて、からの必要なサイズに拡張。の流れでやりました。最初5mmLEDにするつもりでしたが、ケースが頑丈すぎるので、3mmのLEDにしました。

3PDTスイッチ等の現物合わせ

普通にトゥルーバイパスにする場合は、9ピンのフットスイッチを使うんですが、元の3極のヤツよりは縦幅があるので、「バッテリー入らなくなるのでは?」という懸念がありました。

現物合わせで確認したところ。そのままだと案の定、ギリ入らなかったので、元の穴を拡張しました。ここも12mm穴なんですが、0.5mm程度拡張して、広がった分上に寄せてスイッチを実装する事で、「まぁ押し込んだら入るわ」位になりましたので、これで良しとします。

電池で使う事とか無いんですけどね!

LED周りの配線

やっとはんだの出番ですよ。

これが、自分がトゥルーバイパスする時の配線で、LEDに関わる部分とスイッチの下ごしらえが終わったぐらいの段階です。一番有名なやり方とは違う方でやってます。こっちの方が、信号の流れが絵的にイメージし易いので、間違い難くて良いと思う。

3PDTの、左上1番~左下3番、右下9番、でPINに番号振ったとして、

②Input ③Output、①to Effect ⑦from Effect、③と⑨がBypass時の音信号の経路、④と⑤がLEDのOn時の経路で⑤はGroundです。①と⑥はショートさせないとOff時に謎のノイズが出たりするので忘れてはいけない。(Off字にEffect基板のInputが⑤のGroundに落ちる仕組み)

あと、できれば元のIn-Outジャックを使いたかったんですが、干渉しそうだったので、いつも使ってるマル信無線のMJ-161Mにしました。スイッチクラフトのアレより省スペースなので、綿密に設計すれば1590AでTrueBypassのルーパーとか作れます。

オーディオシグナルの配線

さて、音声信号周りの配線が完了した画像がこちらです。

大した意味は無いと思いますが、元の線材は極力使いまわしてみました。

基盤から生えてる線の内訳ですが、緑>V+、白>Ground、灰色>Effect In、黒>Effect Out、でした。謎配色な上、「根元で切ってある赤はなんやねん」と思いますが、線付きの5PINソケットを、別のモデルと共用で使いまわしてるとかでしょう、きっと。

配線材は、複線のAWG24ぐらいのもので、日本製の無酸素銅のヤツだったらなんでも良いと思います。日本製の電子工作用の線が十二分に品質が高いですし、むしろ変な色付けが無くて良いまであります。Beldenの8503とか使ったら音は変わりますが、エフェクターの中での話なので、ちょっとバッファー通るだけでもりもり音変わっちゃいますし、それと比べれば気にする程の差異ではないです。配線材を気にする前に、他に気にする所が山程あるので、そっちに注力した方が精神衛生上も健全です。それよりも、線の取り回しとか、曲げ等の負荷ですぐ断線したりしない方が大事かと思います。なので、曲げに弱い単線は基本使いません。

もちろん、それ以上工夫のしようがないパッシブの装置とか、気分転換に違うの使ってみたりとか、ちょっとの差の積み重ねが大きくなるんや!とかも全然ありだと思います。例えプラシーボでも気分よく弾けたなら意味はある。

完成!

ともあれ完成です。

うむうむカッコ良いぞ。青色LEDで「MODしましたよ」感を演出しつつ、オリジナルを十二分にリスペクトした、音色には極力手を加えない、DOD 250 MOD が今ここに誕生した。

因みに、「元からTrueBypassだし、この程度では音は変わらない」と思ってたんですが、なんかちょっと音固くなりました。アンプにマイク立てて録った音で聞き分けれるような差では無いと思いますが、若干ですが硬くなった様な気がします。変わった部分はフォンジャックとスイッチ位な筈なんですが、なんでなんですかね、怖いねー。パッシブ部品恐るべし。